第3話 ぼく生まれたよ

僕が2歳と8ヶ月になった時、和子ママとパパとユラ母さんが九州から車で横浜に出てきたんだ。僕たちに会うためにいろいろ話をしていたよ。ユラ母さんは二回赤ちゃんをうんでるんだって。

だからいっぱい子供たちが集まってお店のテラスは満員だった。和子ママはママンのとなりに座っていたからいっぱい甘えちゃった。パパは遠くに座っているからテーブルの下からソバに行ったよ。ママンがおみせのテラスに入ったときにハーネスを外してくれたので、リードだけだと意外と動けるんだよ。

僕がゆらかあさんのお腹に入ったときから和子ママは土手をいっぱい歩いて元気な子が生まれますようにって思いながら歩いたんだ。

だんだんゆら母さんのお腹が大きくなっても、ゆらかあさんと一緒に土手を歩いてくれたんだって。僕はお腹の中ですくすくと育って生まれるのを待っていたよ。そして3月15日に長男として生まれてきたんだ。それも夜遅くに、広い広い庭の大きな楠の根元に産み落とされたんだ。パパが慌てて僕を拾い上げて、ママに息を吹き込んでもらったんだ。そして体重を測ってもらったら430グラムの大きな僕だったんだってさ。

頭に青いマニュキュアを塗られって順番に生まれてくる子もいろんな色をつけられたんだよ。次々に兄弟が生まれて全部で13頭。

ママとパパはその日は寝られなかったよね。一頭生まれるのに30分ぐらいかかるんだって。ゆら母さん疲れただろうね。ゆらかあさんのオッパイをとりあって、いつも僕がいちばんオッパイがでるところをとったんだ。いっぱい飲んでどんどん大きくなって兄弟とコロコロ遊んで、賑やかな日々が過ぎていったんだ。僕は長男だから、みんなが遊んでいるのを見守っていたんだよ。

そして2ヶ月がアッという間に過ぎたんだ、2ヶ月になるとママとパパとさようならしなければいけないんだって。そしてママとパパとお別れが来ちゃったんだ。僕はしっかりママとパパを頭の中に刻んでいたよ。兄弟みんなゲージに入れられて飛行機に乗せられたんだ。

そして4歳になった時にママから手紙が届いたんだ、ママンが読んでくれた和子ママの手紙はぼくの宝物。2ヶ月だったけれどママとパパが忘れないぼくはなんて幸せなんだろう。と改めて

「和子ママ、そしてパパ、僕を愛して育ててくれて本当にありがとう」

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