第8話 なぜなら僕は”盲導犬ガウディ”

僕が来てからママンがよく出かけるようになった。

だいたい病院が多いんだけどね。

通っている病院の中で僕が大好きな先生が2人いるんだよ。「さかいだ先生」と「吉野町の久保先生」なんだよ。さかいだ先生のところではママを呼ぶとき芹澤ガウディ君って僕も呼んでくれるんだ。診察が終わった後、僕をイイコイイコしてくれるんだよ。病院の看護婦さんもみんな僕のことを大事にしてくれるんだ。吉野町の久保先生も僕をすごくかわいがってくれるんだよ。

僕も嬉しくて、この二つの病院は行き方しっかり覚えちゃったんだ。あと病院以外にもバスや電車に乗るようになったんだ。

それからしばらくして僕が3歳を過ぎた頃、僕が住んでいる町に介助犬が三頭いることがわかったよ。

盲導犬の僕と「さちこさん」のパートナーのアスク。

それから「みきちゃん」のパートナーのいろはちゃんなんだよ。

いろはちゃんは介助犬なんだ。みきちゃんは車のような大きな椅子を操ってどこでも行けるんだ。アスクは僕の一つ下で弟分。いろはちゃんは年上のお姉ちゃん。

ちっちゃくってかわいいんだよ。みんな黒のラブラドールなんで「黒ラブ会」って名前になったみたい。みんなが都合の良い日に集まっておしゃべりしたり、お茶を飲んだり、ご飯を食べたりしてたよ。でもみきちゃんが時々具合が悪くなるので会えない時も多いんだ。

それと忘れちゃいけないのが、僕の3歳の誕生日にゆきこママとパパ、もねお姉ちゃんがプレゼントをたくさん持って東京からお祝いに来てくれたんだ。また僕は嬉しくなってみんなに飛びついちゃった。いつもいつも僕を大事にしてくれてるんだ。

それと今まで忘れてたんだけど盲導犬の僕たちは外でおしっこやうんちはしないんだよ。家を出る時に済ませてくるんだ。でもたまに長い時間外に出ている時はワンツーベルトを腰につけてそれにビニールの袋をぶら下げておしっこするんだ。うんちの時は別の袋にするんだよ。ワンツーはパピーウォーカーさんがちっちゃな頃からしつけるんだ。なぜかというと僕たちが外でうんちをしちゃったら目が見えないママンたちは拾えないでしょ。だから僕たちはベルトをしない時は我慢をするかママンたちに教えるんだんだよ。でもトイレの時間はだいたい決まってるんだ。それはちっちゃい頃から教えてもらってるんだ。

僕はもう3歳過ぎたからもっとしっかりしなきゃなんないだよね。ママンの安全を守ってしっかりハーネスに恥じないようにしなきゃね。時々僕のことをかわいそうねって話しかけてくれる人がいるんだけど、僕は自分の仕事に誇りを持っているんだよ。ハーネスをつけることはママンと歩く事で、僕が一番好きな時間なんだよ。ハーネスを外してもらうとパパとか他の人とも遊ぶんんだけど、ママンが出で来ると心配ですぐにそばに行っちゃうんだ。

なぜなら、僕は”盲導犬ガウディ”

写真は僕とゆきこママ。そしてさっちゃんとアスク。

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