第12話 盲導犬として大分に凱旋

第1部 初めての飛行機

 

僕達3人は長い廊下を歩いて行ったんだよ。坂みたいになってて着いたところは大きなバスみたいだった。嬉しいことにママと一緒に飛行機に乗れたんだ。飛行機の中は専用のスペースがあって、ちゃんとダウンができたんだよ。飛行機が飛んでいる間、時々ポコンポコンて下がる感じがしたから、ママンが心配で顔を見てたんだ。制服を着た綺麗なお姉さん達がとっても優しかったんだよ。
あっという間に大分に着いたんだ。飛行機が止まって坂道をくだった先にはたくさんの人がいて、その中にかずこママとパパを見つけて嬉しくてママンを急がせちゃったんだ。ママとパパに飛びついて、僕覚えているよってキスしたんだよ。空港には沢山の人がいて、僕どうしてよいかわからなくてなって、緊張して我慢できなかったお土産をパパに拾って貰ったんだ。とっても恥ずかしかったよ。お腹はスッキリしたけどね。パパごめんなさい。

 

駐車場に着いたらワンコが沢山いたんだ。パパの大きな車にユラかあさんとブラックのカノンがいたよ。途中の広場でハーネスを外してもらって、ほかの車からもいっぱいワンコがでてきたんだ。
それからお互いに挨拶したり、追いかけっこをしたり楽しかったよ。また車に乗って山の中の道に入ったら一度も嗅いだ事のない臭いがしたんだ。パパが別府温泉のイオウのにおいだって教えてくれたんだ。もう直ぐ着くよって。山の中の細い道を抜けたら、広い所にお家が1つあったんだ。ここが湯布院ラモリ。到着すると和子ママがみんなの名前を教えてくれたんだ。ジェミニとニーナにはなちゃん。はなちゃんはゴールデンで、ジェミニは僕の同胎のお姉ちゃんで、カノンは1年上のお姉ちゃん。他の子はユラかあさんのファミリーなんだ。もちろん僕もファミリーの一員だよ。ご飯の前に岩の温泉にゆきこママ達と一緒に行ったんだ。ママンのことが心配で僕も岩の温泉にダウンして見守っていたよ。お家でもいつもお風呂の時は入り口でダウンして見守っているんだよ。

 

第2部 僕が生まれた木

 

温泉からでた後、僕達はご飯をたべて、みんなで遊んで、庭で「ワン・ツー」してパパたちが後片付けしてくれたんだ。それからユラファミリーのママたちがコチョコチョ動いてはお皿を運んで、沢山のご馳走を並べてお食事会がはじまって、ワイワイと話し声が聞こえてきたよ。ユラかあさんは疲れたみたいでワンコ達をみながら横になってたよ。しばらくしてみんなで寝る用意をして、僕はゆきこママと初めて一緒に寝たんだ。ゆきこママはとても嬉しくて涙ぐんでいたよ。僕も嬉しくてなかなか寝付けなかったんだけどママンにガウディ静かに寝なさいって怒られちゃった。朝になって目が覚めたらもうご飯の時間だった。ご飯の後は庭でみんなでいつもの儀式をして、パパ達が片付けるのをを待って、ユラかあさんたちとかけっこしたりボール拾いをして遊んだよ。
それからラモリにばいばいして別府温泉に向かったんだ。別府温泉では僕もお湯の中をママンと歩いたんだ。温かくて気持ちよかったよ。足湯って言うんだってさ。
足湯の後、ママン達の食べ歩きに付き合わされちゃった。
その日はゆきこママとホテルに泊まって、次の日和子ママとパパが迎えに来てくれて僕の生まれたお家にいったんだ。大きな木があって「ここがガウディが生まれた場所だよ」ってパパが教えてくれたよ。
カシスお姉ちゃんにも会えて、しばらく一緒に遊んだ後、車に乗って大分空港に向かったんだ。空港に着いてハーネスを外して貰って和子ママとパパと一緒に歩いたんだ。

飛行機に乗る時間になったら、悲しい気持ちになったんだ。「また会えるかな?」
ママとパパにバイバイしてまた長い廊下を歩いて飛行機に乗ったんだ。
ララちゃんとパパがいる横浜に僕の初めての旅がもう直ぐ終わる。

PAGE TOP