第14話 僕の家のにゃんこ達

僕の家の2階にはお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるんだ。お兄ちゃんとお姉ちゃんは「ユウジン&アリサ」っていう名前のアルゼンチンタンゴのダンサーで先生もしているんだ。お兄ちゃんはウーちゃん、お姉ちゃんはアーちゃんって言うんだ。だいぶ前のある日のこと、赤ちゃんの鳴き声みたいな声が2階から聞こえてきたんだ。「ミャーミャー」ってね。お兄ちゃんとお姉ちゃんの足音もバタバタと聞こえてきていたんだ。僕は階段の下に行って聞いてたら、ママンが猫の赤ちゃんだよって教えてくれた。お母さん猫に置いてきぼりにされたまだ生まれて1週間も経ってない赤ちゃんが2匹いるんだって。ウーちゃんのいとこのマコちゃん家の倉庫の下で泣いていた子猫を二人が助けて連れてきたんだってさ。マコちゃんはすぐ側にネイルとボディーアートの教室を持っていって先生を育ててるんだ。日本全国だけでなく、外国からもネイルとボディーアートを習いに来るような有名な先生なんだって。「ティアラマコト」ていうログハウスで教室をしているんだ。ママンも時々僕を連れてモデルになりに行くんだよ。そこに野良猫のお母さんが赤ちゃんを置いて行っちゃったんだって。ウーちゃんとアーちゃんは一生懸命赤ちゃん猫におっぱいをあげてたよ。二人が仕事で忙しい時は赤ちゃん猫の世話をママンが見るんだ。とってもちっちゃいから1人ではミルクを飲めないので、哺乳瓶でおっぱいを飲ませるんだよ。3時間おきにおっぱいを飲ませないといけないんだって。ウーちゃんとアーちゃんは2匹に名前をつけたんだ。真っ黒な子は「モーラ」女の子。黄色い子は「オラシオ」男の子だよ。ほんとにほんとにちっちゃいんだよなぁ。おっぱいをいっぱい飲むとお腹がパンパンになってうれしそうに寝んねしちゃうんだ。寝ちゃった2匹をママンが二階連れていってベットで寝かせてあげるんだ。僕は2階に上がっちゃいけないからモーラとオラシオとはほとんど会えないんだ。そのうち2匹の鳴き声も大きくなって、あっという間に家中を駆けずり回るようになったよ。時々下に降りてくる時もあるんだよ。オラシオはしっぽをぴんと立てて僕にくっついてくるんだ。モーラは怖がりっ子で階段の真ん中から僕を見てるんだよ。僕も2匹と一緒に遊びたいんだけどちっちゃすぎてちょっと怖いよ。壊れちゃうような気がするからね。それからは僕が寝ていると上の方からトントントンって駆け回ってる音が聞こえてくるようになったんだ。きっと鬼ごっこしてるんだと思うよ。僕はお風呂が大好きなんだけど、猫のふたりは嫌いみたい。お風呂に入れるときは布の袋に入れられて、その上から洗ってもらっているんだって。ギャーギャー怒ってるよ。ママンがにゃんこは水が嫌いなんだって言ってた。気持ちが良いのにね。

にゃんこふたりが1歳を過ぎた頃、またマコちゃんのログハウスの前に赤ちゃん猫がお母さんに置いてかれちゃったんだって。その日はすごく雨が降ってて赤ちゃん猫はびちょびちょだったんだ。ウーちゃんはあったかいお湯で温めてあげていたよ。モーラとオラシオの後に生まれた妹みたいだねってウーちゃんが言ってた。今度の子は前の子たちよりも少し大きかったからケージに入れて仕事場でおっぱいをあげているんだって。何色だかよくわからないんだよ、黒っぽいんだけど黒じゃないしなんだろうね。「バサラ」って名前を付けてもらってたけど、なんだか男の子みたな名前だなって僕思っちゃった。

写真はモーラとオラシオ

こっちはバサラ

PAGE TOP